法人税の計算方法をわかりやすく解説
法人を設立すると、利益に対してさまざまな税金がかかります。この記事では、法人が納める6つの税金(法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税、特別法人事業税、防衛特別法人税)について、それぞれの計算方法と税率を具体的に解説します。
1. 法人税(国税)
法人税は、法人の所得(益金 - 損金)に対して課される国税です。中小法人(資本金1億円以下)には軽減税率が適用されます。
税率(中小法人の場合)
| 課税所得 | 税率 |
|---|---|
| 年800万円以下の部分 | 15% |
| 年800万円超の部分 | 23.2% |
例えば、課税所得が1,000万円の場合、法人税額は以下のとおりです。
800万円 × 15% + 200万円 × 23.2% = 120万円 + 46.4万円 = 166.4万円
2. 地方法人税
地方法人税は、法人税額を基準に計算される国税です。地方交付税の財源として使われます。
計算式
地方法人税額 = 法人税額 × 10.3%
法人税額が166.4万円の場合、地方法人税は以下のとおりです。
166.4万円 × 10.3% = 約17.1万円
3. 法人住民税
法人住民税は、法人が所在する都道府県・市区町村に納める地方税です。「法人税割」と「均等割」の2つで構成されます。
法人税割
法人税額に一定の税率を掛けて計算します。税率は自治体によって異なりますが、東京都(特別区)の場合は以下のとおりです。
計算式(東京都特別区の場合)
法人税割 = 法人税額 × 7.0%
均等割
均等割は、法人の規模(資本金等の額・従業者数)に応じて定額で課される税金です。赤字であっても納付が必要です。
均等割額(東京都特別区の例)
| 資本金等の額 | 均等割額(年額) |
|---|---|
| 1,000万円以下 | 7万円 |
| 1,000万円超〜1億円以下 | 18万円 |
| 1億円超〜10億円以下 | 29万円 |
4. 法人事業税
法人事業税は、法人の事業活動に対して課される地方税です。資本金1億円以下の中小法人の場合、所得に対する所得割が課されます。法人事業税は翌期の損金に算入できる点が特徴です。
所得割の税率(中小法人の場合)
| 課税所得 | 税率 |
|---|---|
| 年400万円以下の部分 | 3.5% |
| 年400万円超〜800万円以下の部分 | 5.3% |
| 年800万円超の部分 | 7.0% |
5. 特別法人事業税
特別法人事業税は、法人事業税(所得割)の額を基準に計算される国税です。地域間の税収偏在を是正する目的で設けられています。
計算式
特別法人事業税額 = 法人事業税額(所得割) × 37%
6. 防衛特別法人税(2026年新設)
防衛特別法人税は、防衛力強化のための財源確保を目的として2026年4月から新設される国税です。法人税額のうち一定額を超える部分に課税されます。
計算式
防衛特別法人税額 = (法人税額 - 500万円) × 4%
※法人税額が500万円以下の場合は課税されません。中小企業への影響は限定的です。
7. 計算例
以下の条件で、法人にかかる税金の総額を計算してみましょう。
前提条件
- 売上: 3,000万円
- 経費(役員報酬除く): 1,500万円
- 役員報酬: 600万円(年額)
- 課税所得: 3,000万円 - 1,500万円 - 600万円 = 900万円
- 所在地: 東京都特別区
- 資本金: 1,000万円以下
各税目の計算結果
| 税目 | 計算式 | 税額 |
|---|---|---|
| 法人税 | 800万×15% + 100万×23.2% | 143.2万円 |
| 地方法人税 | 143.2万×10.3% | 約14.7万円 |
| 法人住民税(税割) | 143.2万×7.0% | 約10.0万円 |
| 法人住民税(均等割) | 資本金1,000万以下 | 7.0万円 |
| 法人事業税 | 400万×3.5% + 400万×5.3% + 100万×7.0% | 42.2万円 |
| 特別法人事業税 | 42.2万×37% | 約15.6万円 |
| 防衛特別法人税 | 法人税額500万以下 | 0円 |
| 合計 | 約232.7万円 | |
課税所得900万円に対して、法人が納める税金の合計は約232.7万円(実効税率約25.9%)となります。これに加えて、役員報酬600万円に対する個人の所得税・住民税・社会保険料が別途かかります。
8. まとめ
法人にかかる税金は6種類あり、それぞれ計算方法が異なります。特に中小法人の場合、課税所得800万円を境に法人税率が変わるため、役員報酬の設定によって法人側の税負担を調整できます。
ただし、役員報酬を増やすと個人の所得税・住民税・社会保険料が増加するため、法人と個人を総合的にシミュレーションすることが重要です。
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